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週刊医療界レポート「医療タイムス」(医療タイムス社)2012年6月11日号
特集「特定看護師 育成の現場では」
一般にはあまり知られていないが、日本の医療政策において、いままで医師が担ってきた医療行為の一部を、専門的教育を受けた、一定程度の臨床経験のある看護師に実施できるようにしようとする動きが、ここ3年ほど厚労省で活発に議論されている。
その背景には、医療の高度化にともない、病院医師が多忙を極め、医師が医療行為を施すまで待たされる患者が続出していること、病院の外科・産科など医師が激務を担う診療科で医師が足りないこと、過疎地で在宅療養している患者に医師の手が届いていないことなどがある。医師の地域偏在と、24時間365日営業する病院での医師不足に加えて、限りある国家予算から医療費を搾り出す上で、ぶっちゃけ一定程度の医療行為なら医師より看護師にやってもらったほうが医療費が安く上がるだろうと見積もる国(政府・与党民主党・財務省・厚労省)の意向、疲弊する外科医や産科医による、一刻も早く自分たちの負担を軽減するスタッフがほしいとする要望、高度技術を身につけて地位向上につとめたい看護師業界の悲願など、医療界の面々の思惑が絡みに絡んで、閣議決定までして生み出そうとしているのが、「特定看護師」だった。
ところが、看護師の地位向上=給与向上によって、自分たちの食い扶持を減らすのではと、果ては開業権が侵されるのではと危惧する開業医中心の医師団体の猛反発にあい、「特定看護師」は、その名を名乗る名称独占もせず、業務独占もしない職種として、国の看護師認証制度にしようという流れになっている。そして、反対勢力に押されて、制度化せぬままだらだらと厚労省で検討が進むうちに、「特定看護師」の養成大学院を卒業した看護師が臨床現場に出てしまった。厚労省は「業務試行事業」と称して、医師の指示のもと、卒業生が一定程度の医療行為に着手する許可を出した。業務試行事業ができると認証を受けた病院では、すでに医師と看護師の中間職種と呼べる看護師が、卒後研修を始めている。なかには医師のインターンと同じ研修メニューをこなす人もいるのだ。
という動きが、あまり国民の知られぬところで起こっているという実態を描いた記事が掲載されています。上記リンクのHPより、医療タイムス社にお問い合わせの上、お求めください。
何より大事なのは、さまざまなオピニオンリーダーの思惑も関係なく、ひたすらに患者のためと医療行為や医学知識を学ぶ「特定看護師」を目指す看護師に、拍手!!!なのです。看護師は労働環境が厳しく、これ以上高度な技術を取得するには負担がかかりすぎるとの声もきかれる。だが、新しい挑戦をする人が、看護師の地位向上や技術その他のボトムアップを導き、閉塞感のあるこの業界に新風を吹きこむことは間違いない。「特定看護師」は日本社会にプラスになります。看護師でもないイチ市民でも、まだ制度化されていない「特定看護師」に大いに期待しています。こういう人間がいることを、「特定看護師」候補のみなさんに伝えたい。
この話で、本を書きたいと思っているのですよ、私は。実現するといいなあ。